Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

四

「では、郷里の母御のことでも案じておられるのかな?」

「それもあろうが、原因はもっとべつなほうにある。おれはそう覚っているが、わざと会わせないんだ」

「ふウむ。原因があるのか」

「ある」

苦々しげに張飛はいった。その顔つきで思い出した。近頃、南苑に梨花が咲いて、夜は春月がそれに霞んでまたなく麗しい。時折その梨苑をさまよう月よりも美しい佳人が見かけられる。そうするといつのまにか、この客館から玄徳のすがたが見えなくなるのだった。

四

張飛のはなしを聞いて関羽にも思い当るふしがあった。関羽はそれから特に玄徳の容子に注目していた。

すると、それから数日後の宵であった。その夜は朧月が麗しかった。五台山の半身をぼかした夜霞が野にかけ銀を刷いたような朧をひいていた。

「おや、いつのまにか」

気がついて関羽はつぶやいた。三名して食卓を囲んでいたのである。張飛は例によっていつまでも酒をのんでいるし、自分も、杯をもって相手になっていたが、玄徳は室を去ったとみえて、彼の空席の卓には、皿や酒盞しか残っていない。

「そうだ」

こよいこそ彼の行動をつきとめてみよう。関羽はそう考えたので張飛にも黙って急に部屋から出て行った。