Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
李粛は一言のもとに、
「それやあ、董卓将軍さ」といった。
「賢を敬い、士に篤く、寛仁徳望を兼備している英傑といえば董卓をおいては、ほかに人物はない。必ずや将来大業をなす人はまずあの将軍だろうな」
「そうかなあ。……やはり」
「足下はどう思う」
「いや、実はこの呂布も、日頃そう考えているが、何しろ丁原と仲が悪いし、それに縁もないので――」
聞きもあえず李粛は、たずさえてきた金銀珠玉をそれに取りだして、
「これこそ、その董卓公から、貴公へ礼物として送られた物だ。実は、予はその使いとして来たわけだ」
「えっ。これを」
「赤兎馬もご自身の愛馬で、一城とも取換えられぬ――といっておられるほど秘蔵していた馬だが、ご辺の武勇を慕って、どうか上げてくれというお言葉じゃ」
「ああ。それまでにこの呂布を愛し給うか。何をもって、おれは知己の篤い志に酬いたらいいのか」
「いや、それはやすいことだ。耳を貸し給え」と、李粛はすり寄った。
陣帳風暗く、夜は更けかけていた。兵はみな睡りに落ち、時おり、馴れぬ厩につながれた赤兎馬が、静寂を破って、蹄の音をさせているだけだった。
三
「……よしっ」
呂布は大きくうなずいた。