Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
「※(「灰/皿」、第3水準1-88-74)ばかりだ」と、立騒いでいた。
林の上に、月は煌として冴えていた。白影黒影、さながら魚群の泳ぐように、孫堅の行方をさがし求めている。
その中に、華雄の姿もあった。
孫堅の臣、祖茂は、木かげに潜っていたが、それを見るとむらむらとして、
「うぬっ、董賊の股肱めッ」と、槍をしごいて、突かんとした。
眼ばやく、ちらと、こちらへ眸をうごかした華雄は、
「敗残の匹夫、そこにいたかッ」
と、雷喝した声は、まるで大樹も裂くばかりで、刃鳴一閃のもとに祖茂の首は飛んでしまった。
青い血けむりを後に、
「誰か、今の首を拾って来い」
と、兵に云い捨てて華雄は悠々とほかへ駒を向けて立去った。
「……ああ、危なかった」
後に。――孫堅はほっと辺りを見まわしていた。首のない祖茂の胴体がほうりだされてあるすぐ近くの灌木の茂みの中に、孫堅も息をこらして潜んでいたのである。
「……祖茂よ、ああ惨だ」
孫堅は落涙した。祖茂が日ごろの忠勤を思い出して、胸が痛んだ。
さはいえ、敵の重囲のなかだ。孫堅は気を取り直して、血路を思案した。矢傷の苦痛もわすれて二里ばかり歩いた。