Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

「遷都の発令はすんだか」

「万端終りました」

「朝廷においても、公卿百官もみな心得ているだろうな」

「引移る準備に狂奔しております。それから都門へ高札を立て、なおそれぞれ役人から触れさせましたから、洛内の人民どもも、おそらく車駕について大部分は長安へ流れてきましょう」

「いや、それは貧乏人だけだ。富貴な金持は、たちまち家財を隠匿して、閑地へ散ってしまう。丞相府にも朝廷にも、金銀はすでに乏しかろう」

「さればです。遷都令と同時に軍費徴発令をお発しありたいと存じます」

「いいようにやれ、いちいち法文を発するには及ばん」

「では、ご一任ください」

李儒は五千人を選んで、市中に放ち、遷都と軍事の御用金を命ずると称して、洛中の目ぼしい富豪を片っぱしから襲わせた。そして金銀財宝を山のごとくあつめ、それを駄馬や車輛に積んでは、そばからそばから長安へ向けて輸送した。

洛陽は、無政府状態となった。

官紀も、警察制度もすべての秩序も一日のまに喪失して、市街は混乱におちいった。

富家の財宝を没収するやり方も実にひどかった。

狂風に躍る暴兵は、ここぞと思う富豪の邸へ目をつけると、四方を取囲んでおいて、突然、邸内へ乱入し、家財金銀を担ぎだして手むかう者は立ちどころに斬り殺した。