Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
と、いわれている無双な要害であったから、さすが寄手の孫堅軍も、この城下に到ると、攻めあぐんで、ようやく、兵馬は遠征の疲労と退屈を兆していた。
するとある日。
ひどい狂風がふきまくった。
野陣の寄手は、砂塵と狂風に半日苦しんだ。ところが、どうしたことか、中軍に立っている「帥」の文字をぬいとってある将旗の旗竿が、ぽきんと折れてしまった。
「帥」の旗は、総軍の大将旗である。兵はみな不吉な感じにとらわれた。わけて幕僚たちは眉をくもらせて、
「ただ事ではない」と、孫堅をかこみ、そしておのおの口を極めていった。
「ここ戦もはかばかしからず、兵馬もようやく倦んできました。それに、家郷を遠く離れて、はや征野の木々にも冬の訪れが見えだしたところへ――朔風にわかにふいて、中軍の将旗の旗竿が折れたりなどして、皆不吉な予感にとらわれています。もうこの辺で、いちど軍をお退きになられてはいかがでしょうか」
すると孫堅は
「わははは。其方どもまで、そんな御幣をかついでいるのか」と、哄笑した。
彼は、気にもかけていなかった。しかし、士気に関することであるから、孫堅も、真面目になって云い足した。