Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
鶏を裂いて、股を喰らうぐらいな酒の上は、彼としては、いと穏当な芸である。――だが、捕吏や兵隊は驚いた。鶏の血は張飛の唇のまわりを染め、その炯々たる眼は怖ろしく不気味であった。
「なに? ……おれを捕まえにきたと。……わははははは。あべこべに取っつかまって、この通りになるなよ」
裂いた鶏を、眼の高さに、上げて示しながら、張飛は取囲む捕吏と兵隊を揶揄した。
捕吏は怒って、
「それっ、酔どれに、愚図愚図いわすな。突き殺してもかまわん。かかれっ」と、呶号した。
だが、兵隊たちは、近寄れなかった。槍ぶすまを並べたまま、彼の周囲を巡りまわったのみだった。
張飛は、変な腰つきをして、犬みたいにつく這った。それがよけいに捕吏や兵隊を恐怖させた。彼の眼が向ったほうへ飛びかかってくる支度だろうと思ったからである。
「さあ、大きな鶏どもめ、一羽一羽、ひねりつぶすから逃げるなよ」
張飛はいった。
彼の頭にはまだ鶏を追いかけ廻している戯れが連続していて、捕吏の頭にも、兵隊の頭にも、鶏冠が生えているように見えているらしかった。
大きな鶏どもは呆れかつ怒り心頭に発して、
「野郎っ」