Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

――そして明日はいずれまた、お三名して将来の相談もあろうし、大事の門出でもありますし、母が一生一度の馳走をこしらえてあげますからね」

それを聞いて、関羽は、この母親の胸を問うなど愚であることを知った。張飛も共に、頭を下げて、「ありがとうござる」と、心服した。

劉備は、

「では、お言葉に甘えて、明日はおっ母さんに、一世一代の祝いを奢っていただきましょう。けれどそのご馳走は、吾々ばかりでなく、祭壇を設けて、先祖にも上げていただきたいものです」

「では、ちょうど今は、桃園の花が真盛りだから、桃園の中に蓆を敷こうかね」

張飛は手を打って、

「それはいい。では吾々も、あしたは朝から桃園を浄めて、せめて祭壇を作る手助けでもしよう」

と、いった。

客の二人に床を与えて、眠りをすすめ、劉備と母のふたりは、暗い厨の片隅で、藁をかぶって寝た。劉が眼をさましてみると、母はもういなかった。夜は明けていたのである。どこかでしきりに、山羊の啼く声がしていた。

厨の窯の下には、どかどかと薪がくべられていた。こんなに景気よく窯に薪の焚かれた例は、劉備が少年の頃から覚えのないことであった。