Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

「……ぜひもない」

「ぜひもないことはありません。こんな不法は蹴とばすべきです。先頃からそれがしもつらつら思うに、枳棘叢中鸞鳳の栖む所に非ず――と昔からいいます。棘や枳のようなトゲの木の中には良い鳳は自然栖んでいない――というのです。われわれは栖む所を誤りました。如かずいちど身を退いて、別に遠大の計をはかり直そうではありませんか」

関羽には、時々、訓えられることが多い。やはり学問においては、彼が一日の長を持っていた。

玄徳はいつも聴くべき言はよく聴く人であったが、今も、彼の言をじっと聞いているうちに、大きくうなずいて、

「そうだ。……いいことをいってくれた。我れ栖む所を誤てり」

と、胸にかけていた県尉の印綬を解いて、督郵にいった。

「卿は、民を害する賊吏、今その首を斬って、これに梟けるはいと易いことながら、恥を思わぬ悲鳴を聞けば、畜類にも不愍は生じる。あわれ、犬猫と思うて助けてとらせる。――そしてこの印綬は、卿に託しておく。我れ今、官を捨てて去る。中央へよろしくこの趣を取次ぎたまえ」

そして張飛、関羽のふたりをかえりみて、

「さ。行こう」

と、風の如くそこを去った。