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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

やがて、独りで、うーむと唸っていたが、なに思ったか、

「あ、あ! あなただっ」

膝を折って、床に坐り、あたかも現世の文殊弥勒でも見たように、何度も礼拝して止まなかった。

劉備は、迷惑がって、

「老僧、何をなさいます」と、手を取った。

老僧は、彼の手にふれると、なおさら、随喜の涙を流さぬばかりふるえて、額に押しいただきながら、

「青年。――わしは長いこと待っていたよ。まさしく、わしの待っていたのはあなただ。――あなたこそ魔魅跳梁を退けて、暗黒の国に楽土を創て、乱麻の世に道を示し、塗炭の底から大民を救ってくれるお方にちがいない」と、いった。

「とんでもない。私は県から迷ってきた貧しい蓆売りです。老僧はなしてください」

「いいや、あなたの人相骨がらに現われておるよ。青年、聞かしておくれ。あなたの祖先は、帝系の流れか、王侯の血をひいていたろう」

「ちがう」

劉備は、首を振って、「父も、祖父も、楼桑村の百姓でした」

「もっと先は……」

「わかりません」

「分らなければ、わしの言を信じたがよい。あなたが佩いている剣は誰にもらったのか」

「亡父の遺物」

「もっと前から、家におありじゃったろう。