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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

と関羽も、自分の取越し苦労を打消し、すっかり眉をひらいた。

「そういうお気持なら安心ですが、実は、われわれの盟主たりまた、大望を抱いている英傑児が、一女性のために、壮志を蝕まれてしまうなどとは、残念至極だと、張飛と共に、ひそかに案じていたところなのです。――ではあなたは飽くまで、芙蓉娘と本気で恋などにおちているわけではありますまいな」

「いや」

玄徳は、正直にいった。

「恋をささやいている間は、恥かしいが、わしは本気で恋をささやいているよ。女を欺けない、また、自分も欺けない。ただ、恋あるのみだ」

「え……?」

「だが両君。乞う、安んじてくれ給え。玄徳はそれだけが全部にはなりきれない。恋のささやきも一ときの間だ。すぐわれに返る。中山靖王の後裔劉備玄徳というわれに返る。寒村の田夫から身を起し、義旗をひるがえしてからすでに両三年、戦野の屍となりつるか、洛陽の府にさまよえるか、と故郷には今なお、わが子の我を待ち給う老母もいる。なんで大志を失おうや。……両君も、それは安心して可なりである。玄徳を信じてくれい」

故園

一

その翌日である。玄徳たち三名は、にわかに五台山麓の地、劉恢の邸宅から一時身を去ることになった。