Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
「ああ、蛍が……」
陳留王はさけんだ。
大きな蛍の群れが、風のまにまに一かたまりになって、眼のまえをふわふわ飛んでゆく、蛍の光でも非常に心づよくなった。
夜が明けかけた――
もう歩けない。
新帝はよろめいたまま起き上がらなかった。陳留王も、
「ああ」と、腰をついてしまった。
昏々と、しばらくは何もしらなかった。誰かそのうちに起す者がある。
「どこから来た?」と、訊ねるのである。
見まわすと、古びた荘院の土塀が近くにある。そこの主かもしれない。
「いったい、そなた達は、何人のお子か」
と、重ねて問う。
陳留王は、まだしっかりした声を持っていた。帝を指さして、
「先頃、ご即位されたばかりの新帝陛下です。十常侍の乱で、宮門から遁れてきたが、侍臣たちはみなちりぢりになり、ようやく、私がお供をしてこれまで来たのです」と、いった。
主は、仰天して、
「そして、あなたは」と、眼をまろくした。
「わしは、帝の弟、陳留王という者である」
「げっ、では真の? ……」
主は、驚きあわてた様で、帝を扶けて、荘院のうちへ迎え入れた。古びた田舎邸である。
「申しおくれました。自分儀は、先朝にお仕え申していた司徒崔烈の弟で、崔毅という者であります。