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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

「母へ孝養を努めようとして、かえって大不孝の子となってしまった。死ぬる身は惜しくもないが、老母の余生を悲しませ、不孝の屍を野にさらすのは悲しいことだ」

劉備は、星を仰いで嘆いた。そして、孝行するにも、身に不相応な望みを持ったのが悪かったと悔いた。

賊府へひかれて、人中で生恥さらして殺されるよりは、いっそ、ここで、ひと思いに死なんか――と考えた。

死ぬにも、身に剣はなかった。柱に頭を打ちつけて憤死するか。舌を噛んで星夜をねめつけながら呪死せんか。

劉備は、悶々と、迷った。

――すると彼の眸の前に一筋の縄が下がってきた。それは神の意志によって下がってくるように、高い切窓の口から石の壁に伝わってスルスルと垂れてきたのである。

「……あ?」

人影もなにも見えない、ただ四角な星空があるだけだった。

劉備は、身を起しかけた。しかしすぐ無益であることを知った。身は縛めにかかっている、この縄目の解けない以上、救い手がそこまで来ていても、すがりつく術はない。

「……ああ、誰だろう?」

誰か、窓の下へ、救いに来ている。外で自分を待っていてくれる者がある。劉備は、なおさらもがいた。