Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
「お気がつきましたか。――さっさっ、私の肩につかまってお起ちなさい。今逃げた兵が、徐栄の軍を呼んでくるに違いありません」
「だ、だめだ……曹洪」
「なんですと?」
「残念ながら、矢傷を負い、馬に踏まれた胸も苦しい。この身は打捨てて行け。おまえだけ、早く落ちて行ってくれ」
「心弱いことを仰っしゃいますな。矢傷ぐらい、大したことはありません。いま、天下の大乱、この曹洪などはなくとも、曹操はなくてはなりません。一日でも、生きてゆくのは、あなたの天から享けている使命です」
曹洪は、こう励まして、兄の着ている鎧甲を解いて身軽にさせ、小脇に抱いて、敵の捨てたらしい駒の背へしがみついた。
果して。
わあっ……と、徐栄の手勢が、後から追って来た。
曹洪は、心も空に、片手に兄を抱え、片手に手綱をとり、眼をふさいで、
「この身はともかく、兄曹操の一命こそ、大事の今。諸仏天加護ありたまえ」
と、祷りながら無我夢中に逃げつづけた。
逆落しに、山上から曠野まで馳せおりて来た心地がした。
「やれ、麓へ出たか」と、思ってふと見ると、満々たる大河が行く手に横たわっているではないか。それと見た曹操は、苦しげに、弟をかえりみて、