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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

「太師。お召しですか」

天文官の一員は彼によばれて、ひざまずいた。

その日、朝廷の宴楽台に、酒宴のあるという少し前であった。

「なにか変ったことはないか」

董卓の訊ねに、

「そういえば昨夜、一陣の黒気が立って、月白の中空をつらぬきました。なにか、諸公のうちに、凶気を抱く者があるかと思われます」

「そうだろう」

「なにかお心あたりがおありでございますか」

すると董卓は、はったと睨みつけて云った。

「そちらの知ったことではない。我より問われて初めて答えをなすなど怠慢至極だ。天文官は、絶えず天文を按じ、凶事の来らぬうちに我へ告げねば、なんの役に立つかっ」

「はっ。恐れ入りましてございます」

天文官は、自分の首の根から黒気の立たないうちに、蒼くなってあたふた退出した。

やがて、時刻となると、公卿百官は、宴に蝟集した。すると、酒もたけなわの頃、どこからか、呂布があわただしく帰って来て、

「失礼します」と、董卓のそばへ行って、その耳元へなにやらささやいた。

満座は皆、杯もわすれて、その二人へ、神経をとがらしていた。

――と、董卓は、うなずいていたが、呂布へ向って低声に命じた。