Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
……さめざめと、泣いてみせているのである。
(――辛い。わたしは辛い。想っているお方とは、語らうこともできず、こうして、いつまで心にもない人と一室に暮らさなければならないのでしょう。あなたは無情です。ちっともこの頃は、お姿を見せてくださらない! せめて、お姿を見るだけでも、わたしは人知れず慰められているものを)
もとより声に出してはいえなかったが、彼女の一滴一滴の涙と、濡れた睫毛と、物いえぬ唇のわななきは、言葉以上に、惻々と、呂布の胸へ、その想いを語っていた。
「……では、では、そなたは」
呂布は、断腸の思いの中にも、体中の血が狂喜するのをどうしようもなかった。盲目的に彼女のうしろへ寄って行った。そして、その白い頸を抱きすくめようとしたが、屏風の角に、剣の佩環が引っかかったので、思わず足をすくめてしまった。
「呂布っ。何するか」
病床の董卓は、とたんに、大喝して身をもたげた。
四
呂布は、狼狽して、
「いや、べつに……」と、牀の裾へ退がりかけた。
「待てっ」と、董卓は、病も忘れて、額に青すじを立てた。
「今、おまえは、わしの眼を偸んで、貂蝉へたわむれようとしたな。