Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
ちょうど最前、古塔のあたりから白馬にのって逃げた者があると、哨兵の知らせに、こよい黄巾賊の将兵が泊っていたかの寺が、すわと一度に、混雑におちた隙をうかがい、夕刻見ておいた貴公のその二品を、馬元義と李朱氾の眠っていた内陣の壇からすばやく奪い返し、追手の卒と共にこれまで馳けてきたものでござる。貴公の孝心と、誠実を天もよみし賜うて、自然お手に戻ったものでしょう」
と、理由をはなした。張飛が武勇に誇らない謙遜なことばに、劉備はいよいよ感じて、感銘のあまり二品のうちの剣のほうを差しだして、
「大人、失礼ですが、これはお礼として、あなたに差上げましょう。茶は、故郷に待っている母の土産なので、頒つことはできませんが、剣は、あなたのような義胆の豪傑に持っていただけば、むしろ剣そのものも本望でしょうから」と、再び、張飛の手へ授けて云った。
張飛は、眼をみはって、
「えっ、この品をそれがしに、賜ると仰っしゃるのですか」
「劉備の寸志です。どうか納めておいて下さい」
「自分は根からの武人ですから、実をいえば、この剣の世に稀な名刀だということは知っていますから、欲しくてならなかったところです。