Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
「おういっ。……わが君っ」
悪来が捜していると、
「典韋じゃないか」と、誰か一騎、馳け寄って来た味方がある。
「オオ、李典か、ご主君の姿を見なかったか」
「自分も、それを案じて、お捜し申しているところだ」
「どう落ちて行かれたやら」
兵を手分けして、二人は八方捜索にかかったが、皆目知れなかった。
何処を見ても火と黒煙と敵兵だった。曹操自身さえ南へ馳けているのか西へ向っているのか分らない。ただ果てしない乱軍の囲みと炎の迷路だった。その中からどうしても出ることができないほど、頭脳も顛倒していた。
――すると彼方の暗い辻から、一団の松明が、赤々と夜霧をにじませて曲って来た。
近づいて見るまでもなく敵にちがいない。曹操は、
「南無三」と、思ったが、あわてて引っ返してはかえって怪しまれる。肚をすえて、そのまま行き過ぎようとした。
何ぞ計らん、従者の松明に囲まれて戛々と歩いて来たのは、敵将の呂布であった。例の凄まじい大戟を横たえ、左に赤兎馬の手綱を持って悠然と来る姿が、はっと、曹操の眸に大きく映った。
ぎょっとしたが、すでに遅し! である。曹操は顔をそ向け、その顔を手で隠しながら、何気ない素振りを装ってすれ違った。