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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

ああどうなるのだろう?」

世の行く末を思いやると、彼はいよいよ暗い心にとざされた。

物置をあけて、彼は夕餉にする粟や豆の俵を見まわした。驚いたことには、多少その中に蓄えておいた穀物も干し肉も、天井につるしておいた乾菜まできれいに失くなっているのだった。――もう母に訊くまでもないことと、彼はまた、そこで茫失していた。

すると、むりに部屋へ入れて休ませておいた母が部屋の中で、何か小さい物音をさせていた。行って見ると、床板を上げて、土中の瓶の中から、わずかな粟と食物を取出している。

「……ア。そんな所に」

劉備の声に、彼女はふり向いて、浅ましい自分を笑うように、

「すこし隠しておいたのだよ。生きてゆくだけの物はないと困るからね」

「…………」

世の中は急転しているのだ。これはもうただ事ではない。何億の人間が、生きながら餓鬼となりかけているのだ。反対に、一部の黄巾賊が、その血をすすり肉をくらって、不当な富貴と悪辣な栄華をほしいままにしているのだ。

「阿備や……。灯りを持っておいで、粟が煮えたよ。何もないけれど、二人して喰べれば、おいしかろう」

やがて、老いたる母は、貧しい卓から子を呼んでいた。