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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

「申しわけありません。実は旅から帰る途中、ある者に礼として与えてしまいましたので」

いうと、母は、「えっ、人に与えてしまったッて。――ま! あの剣を」と、顔いろを変えた。

劉備はそこで、黄巾賊の一群につかまって、人質になったことや、茶壺も剣も奪り上げられてしまったことや、それからようやく救われて、賊の群れから脱出してきたが、再び追いつかれて黄匪の重囲に陥ち、すでに斬り死しようとした時、卒の張飛という者が、一命を助けてくれたので、うれしさの余り、何か礼を与えようと思ったが、身に持っている物は、剣と茶壺しかなかったので、やむなく、剣を彼に与えたのです――とつぶさに話して、

「賊に捕まった時も、張卒に助けられた時も、その折はもう何も要らないという気持になっていたんです。……けれど、この銘茶だけは、生命がけでも持って帰って、おっ母さんに上げたいと思っていました。剣を手放したのは申しわけありませんが、そんなわけで、この銘茶を、生命から二番目の物として、持ち帰ったのでございます」

「…………」

「剣は、先祖伝来の物で、大事な物には違いありませんが、沓や蓆をつくって生活しているあいだは、張卒から貰ったこれでも決して間にあわないこともありませんから……」