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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

「豪傑。これ以上、もう多言は吐く必要はないでしょう。折を見てまた会いましょう。きょうは市へきた出先で、遅くなると母も案じますから――」

張飛は獅子首を突きだして、噛みつきそうな眼をしたまま、いつまでも無言だった。これは感きわまった時にやるかれの癖なのである。それからやがて唸るような息を吐いて、大きな胸をそらしたと思うと、

「そうだったのか! やはりこの張飛の眼には誤りはなかった! いやいつか古塔の上から跳び降りて死んだかの老僧のいったことが、今思いあたる。……ウウム、あなたは景帝の裔孫だったのか。治乱興亡の長い星霜のあいだに、名門名族は泡沫のように消えてゆくが、血は一滴でも残されればどこかに伝わってゆく。ああ有難い。生きていたかいがあった。今月今日、張飛は会うべきお人に会った」

独りしてそう呻いていたかと思うと、彼はにわかに、石橋の石の上にひざまずき、剣を奉じて、劉備へいった。

「謹んで、剣は、尊手へおかえしします。これはもともと、やつがれなどの身に佩くものではない。――が、ただしです。あなたはこの剣を受け取らるるや否や、この剣を佩くからには、この剣と共にある使命もあわせて佩かねばならぬが」