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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

「こいつが……」と、呆れて、

「いくら酒の上にいたせ、よいほどに引っ込まぬと、素ッ首を刎ね落すぞ」

「では、どうしても、通さぬというか。おれに頭を下げさせておきながら」

張飛は、そこらを見廻した。酔いどれとは思いながら、雲つくような巨漢だし、無気味な眼の光にかまわずにいると、ずかずかと歩みだして、城壁の下に立ち、役人以外は登ることを厳禁している鉄梯子へ片足をかけた。

「こらっ。どこへ行く」

ひとりは、張飛の腰の紐帯をつかんだ。他の関門兵は、槍をそろえて向けた。

張飛は、髯の中から、白い歯を見せて、人なつこい笑い方をした。

「いいじゃないか。野暮をいわんでも……」

そしてたずさえている猪の肉の片股と、肉切り庖丁とを、彼らの目のまえに突き出した。

「これをやろう。貴公らの身分では、めったに肉も喰らえまい。これで寝酒でもやったほうが、俺になぐり殺されるより遥かにましじゃろうが」

「こいつが、いわしておけば――」

また一人、組みついた。

張飛は、猪の股を振り上げて、突きだしてくる槍を束にして払い落した。そして自分の腰と首に組みついている二人の兵は、蠅でもたかっているように、そのまま振りのけもせず、二丈余の鉄梯子を馳け登って行った。