Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
三
母は、その子を、大地に見ながら、なお叱っていった。
「まだおまえが郷土を出てから、わずか二年か三年ではないか。貧しい武器と、訓練もない郷兵を集めて、このひろい天下の騒乱の中へ打って出たおまえが、たった三年やそこらで、功を遂げ名をあげて戻ってこようなどと……そんな夢みたいなことを母は考えて待っておりはしない。……世の中というものはそんな単純ではありません」
「母上。……玄徳の過りでございました。どこへ行っても、自分の正義は通らず、戦っても戦っても、なんのために戦ったのか、この頃、ふと失意のあまり疑いを抱いたりして」
「戦に勝つことは、強い豪傑ならば、誰でもすることです。そういう正しい道のさまたげにも、自分自身を時折に襲ってくる弱い心にも打ち克たなければ、所詮、大事はなし遂げられるものではあるまいが」
「……そうです」
「ようく、お分りであろう。……もうそなたも三十に近い男児。それくらいなことは」
「はい」
「そこらの豪傑たちが、乱世に乗じて、一州一郡を伐取りするような小さい望みとは違うはずです。漢の宗室の末孫、中山靖王の裔であるおまえが、万民のために、剣をとって起ったのですよ」