Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
秋風陣
一
秋風陣
一
潁川の地へ行きついてみると、そこにはすでに官軍の一部隊しか残っていなかった。大将軍の朱雋も皇甫嵩も、賊軍を追いせばめて、遠く河南の曲陽や宛城方面へ移駐しているとのことであった。
「さしも旺だった黄巾賊の勢力も、洛陽の派遣軍のために、次第に各地で討伐され、そろそろ自壊しはじめたようですな」
関羽がいうと、
「つまらない事になった」
と、張飛はしきりと、今のうちに功を立てねば、いつの時か風雲に乗ぜんと、焦心るのであった。
「――義軍なんぞ小功を思わん。義胆なんぞ風雲を要せん」
劉玄徳は、独りいった。
雁の列のように、漂泊の小軍隊はまた、南へ向って、旅をつづけた。
黄河を渡った。
兵たちは、馬に水を飼った。
玄徳は、黄いろい大河に眼をやると、憶いを深くして、
「ああ、悠久なる哉」
と、呟いた。
四、五年前に見た黄河もこの通りだった。おそらく百年、千年の後も、黄河の水は、この通りにあるだろう。
天地の悠久を思うと、人間の一瞬がはかなく感じられた。小功は思わないが、しきりと、生きている間の生甲斐と、意義ある仕事を残さんとする誓願が念じられてくる。
「この畔で、半日もじっと若い空想にふけっていたことがある。