Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
三
「嘘と思うなら池をのぞいてみるがよい。紅蓮の下にも、白蓮の根元にも、腐爛した人間の死骸がいっぱいだよ。お前方の仲間に殺された善良な農民や女子供の死骸だの、また、黄巾の党に入らないので、縊り殺された地頭やら、その夫人やら、戦って死んだ役人衆やら――何百という死骸がのう」
「あたり前だ。大賢良師張角様に反くやつらは、みな天罰でそうなるのだ」
「…………」
「いや。よけいなことは、どうでもいい。食べ物もなく水もなく、一体それでは、てめえは何を喰って生きているのか」
「わしの喰ってる物なら」と、老僧は、自分の沓のまわりを指さした。
「……そこらにある」
馬元義は、何気なく、床を見まわした。根を噛んだ生草だの、虫の足だの、鼠の骨などが散らかっていた。
「こいつは参った。ご饗応はおあずけとしておこう。おい劉、甘洪、行こうぜ」
と出て行きかけた。
すると、その時はじめて、賊の供をしている劉備の存在に気づいた老僧は、穴のあくほど、劉青年の顔を見つめていたが、突然、
「あっ?」と、打たれたような愕きを声に放って、曲※(「碌のつくり」、第3水準1-84-27)から突っ立った。
三
老僧の落ちくぼんでいる眼は大きく驚異にみはったまま劉備の面をじいと見すえたきり、眼ばたきもしなかった。