Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
四
王允は、その無礼をとがめ、
「誰かと思えば、そちは校尉曹操ではないか。なんで笑うか」
すると、曹操はなお笑って、
「いや、すみません。しかしこれが笑わずにおられましょうか。朝廷の諸大臣たる方々が、夜は泣いて暁に至り、昼は悲しんで暮れに及び、寄るとさわると泣いてばかりいらっしゃる。これでは天下万民もみな泣き暮しになるわけですな。おまけに、誕生祝いというのに、わさわさ集まって、また泣き上戸の泣き競べとは――。わはははは。失礼ですが、どうもおかしくって、笑いが止まりませんよ。あははは、あははは」
「やかましいっ。汝はそもそも、相国曹参が後胤で、四百年来、代々漢室の大恩をうけて来ながら、今の朝廷の有様が、悲しくないのか。われわれの憂いが、そんなにおかしいのか。返答によってはゆるさんぞ」
四
「これは意外なお怒りを――」と、曹操はやや真面目に改まって、
「それがしとて何も理のないことを笑ったわけではありません。時の大臣ともあろう方々が、女童の如く、日夜めそめそ悲嘆しておらるるのみで董卓を誅伏する計といったら何もありはしない。――そんな意気地なしなら、時勢を慨嘆したりなどせずに、美人の腰掛けになって胡弓でも聴きながら感涙を流していたらよかろうに――と思ったのでつい笑ってしまった次第です」