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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

「この身が帝位についたら、そちを執金吾に取立てて得させよう」

「必ず忠誠を誓います」

李粛が、再拝しているまに、董卓は、侍臣へ向って、車騎行装の支度を命じた。

そして彼は、馳けこむように、貂蝉の住む一閣へ行って、

「いつか、そなたに云ったことがあろう。わしが帝位に昇ったら、そなたを貴妃として、この世の栄華を尽させんと。とうとうその日が来た」と、早口に云った。

貂蝉は、チラと、眼をかがやかしたが――すぐ無邪気な表情をして、

「まあ。ほんとですか」と、狂喜してみせた。

董卓はまた、後堂から母をよび出して、事の由をはなした。彼の母はすでに年九十の余であった。耳も遠く眼もかすんでいた。

「……なんじゃ。俄に、どこへ行くというのかの」

「参内して、天子の御位をうけるのです」

「誰がの?」

「あなたの子がです」

「おまえがか」

「ご老母。あなたも、いい伜を持ったお蔭で、近いうちに、皇太后と敬われる身になるんですぞ。嬉しいと思いませんか」

「やれやれ。わずらわしいことだのう」

九十余歳の老媼は、上唇をふるわせて、むしろ悲しむが如く、天井を仰いだ。

「あははは、張合いのないものだな」