Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
けれど、同時に貴公とこの剣との来歴も聞いていましたから、望むに望めないでおりましたが」
「いや、生命の恩人へ酬いるには、これをもってしても、まだ足りません。しかも剣の真価を、そこまで、分っていて下されば、なおさら、差上げても張合いがあり、自分としても満足です」
「そうですか。しからば、ほかならぬ品ですから、頂戴しておこう」
と、張飛は、自身の剣をすぐ解き捨て、渇望の名剣を身に佩いていかにもうれしそうであった。
「じゃあ早速ですが、まだ賊が押し返してくるにきまっている。それがしは鴻家のご息女を立てて、旧主の残兵を集め事を謀る考えですが――貴公も一刻もはやく、郷里へさしてお帰りなさい」
張飛のことばに、
「おお、それでは」
と、劉備は、芙蓉の身を扶けて、張飛に託し、自分は、賊の捨てた驢をひろってまたがった。
張飛は、先に自分が解き捨てた剣を劉備の腰に佩かせてやりながら、
「こんな剣でも帯びておいでなされ。まだ、県までは、数百里もありますから」といった。
そして張飛自身も、芙蓉の身を抱いて、白馬の上に移り、名残り惜しげに、
「いつかまた、再会の日もありましょうが、ではご機嫌よく」