Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme

Aozora Bunko

二

「や、やっ」

「狼藉者っ」

「関門破りだっ」

「出合え。出合えっ」

狼狽して、わめき合う人影のうえに、城壁の上から、二箇の人間が飛んできた。もちろん、投げ落された人間も血漿の粉になり、下になった人間も、肉餅のように圧しつぶされた。

二

物音に、望楼の守兵と、役人らが出て見た時は、張飛はもう、二丈余の城壁から、関外の大地へとび降りていた。

「黄匪だっ」

「間諜だ」

警鼓を鳴らして、関門の上下では騒いでいたが、張飛はふりむきもせず、疾風のように馳けて行った。

五、六里も来ると、一条の河があった。蟠桃河の支流である。河向うに約五百戸ほどの村が墨のような夜靄のなかに沈んでいる。村へはいってみるとまだそう夜も更けていないので、所々の家の灯皿に薄暗い明りがゆらいでいる。

楊柳に囲まれた寺院がある。塀にそって張飛は大股に曲がって行った。すると大きな棗の木が五、六本あって、隠士の住居とも見える閑寂な庭があった。門柱はあるが扉はない。そしてそこの入口に、

童学草舎

という看板がかかっていた。

「おういっ。もう寝たのか。雲長、雲長」

張飛は、烈しく、奥の家の扉をたたいた。すると横の窓に、うすい灯がさした。