Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(一) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 309.839 Zeichen · 622 Bildschirme
王允はことごとく感じて、人々もまたほっと喜色をみなぎらした。
すると曹操は、「時に、王公に小生から、一つのご無心がありますが」といいだした。
「何か、遠慮なくいうてみい」
「ほかではありませんが、王家には昔より七宝をちりばめた稀代の名刀が伝来されておる由、常々、承っておりますが、董卓を刺すために、願わくばその名刀を、小生にお貸し下さいませんか」
「それは、目的さえ必ず仕遂げてくれるならば……」
「その儀は、きっとやりのけて見せます。董相国も近頃では、それがしを寵愛して、まったく腹心の者同様にみていますから、近づいて一断に斬殺することは、なんの造作もありません」
「うム。それさえ首尾よく参るものなら、天下の大幸というべきだ。なんで家宝の名刀一つをそのために惜しもうや」
と、王允はすぐ家臣に命じて、秘蔵の七宝剣を取りだし、手ずからそれを曹操に授け、かつ云った。
「しかし、もし仕損じて、事顕れたら一大事だぞ、充分心して行えよ」
「乞う、安んじて下さい」
曹操は剣を受け、その夜の酒宴も終ったので、颯爽として帰途についた。七宝の利剣は燦として夜光の珠の帯の如く、彼の腰間にかがやいていた。