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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

「朝日新聞」1941(昭和16)年2月18日~8月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 页

青空文庫

四

さだめしおまえ方の家でも、正月の支度、年暮の始末もあるだろう。ご苦労。さあ家へ帰って、ゆるりと正月をしてくれ」

竣工の日。介三郎は、石権をはじめ、職人たちをねぎらって、賃金、慰労の賞与など、十分に頒け与えた。

ただこの四、五日のあいだ、必死に手伝ってくれた博徒の仲間や浪人たちは、

「いや、そんな物をもらったんでは、わたし達のご奉公になりません。生れて初めて、善い事をしたという気持でもう沢山です。どうかそんなご心配なく」

と、頑として受けない。

「いやいや建碑のできた祝いとして、神酒をお頒けするのだ。共々によろこんでくれい」

と、介三郎もまた、強って贈ったので、ついに浪人の浮田甚兵衛が一同を代表して、

「では、ありがたく頂戴いたすが、いずれ形だけでも、建碑の祭はなさるのでございましょう」

と、訊ねた。

「正成公の命日は、五月二十五日だが、忌日にこだわる必要はあるまい。正月の五日、小やかな祭でも執り行って、関係者一同に集まってもらおうと考えておるが……」

「では、その日にまた、ここでお目にかかるといたそう。みんなも、その日には、来るだろうな」

仲間の者へ念を押すと、たれもかれも、