轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

「朝日新聞」1941(昭和16)年2月18日~8月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 页

青空文庫

十五

「おういっ、悦之進っ。……すこしやすめ。待ってくれい」

介三郎は、手を振っていた。こういう急場となるとつい、格外というかれの仮名は忘れてしまった。

十五

小石川の本邸でさえ、その不意打にうろたえた程だった。西山を出た老公が江戸へ向われたとは、早速、水戸の藩庁から通告はあったが、道中の日程を計ると、その到着はまだまだ数日の後と考えられていたからである。

表門から、また玄関からも、事の不意に驚いた諸士が、

「ご隠居さまのお着きですっ」

「ご老公がおわたりになられましたっ」

と、あわただしげに告げてもなお、奥のほうでは、信じなかったくらいだった。

二名の供と一頭の馬は、汗と埃にまみれたまま、大玄関へ上がってゆく老公のすがたを見送っていた。

右往左往という文字どおりな跫音と出迎えの家臣たちの顔の中を、老公はずんずん奥へ通って行った。

そして、一室へ落着いた。

陽にも焦け、埃にも汚れ、いかに道中を急速に上って来たか、その容子にも窺われたが、顔容にはさしたるつかれも見えない。静かに、白湯をひと口のんで、

「少将どのには変りないか」

と、まず綱条の安否をたずね、さてまた、思い出したように、