轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

「朝日新聞」1941(昭和16)年2月18日~8月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 页

青空文庫

四

林助はくやしがって、馬上の人の白髯へ、戯れかかるようにいった。

四

「なんじゃ、問うてみい」

「ほかでもありませんが、ただ今も、西山荘をお出ましの折、老公には、召される馬にむかって――ひとつご苦労を頼もうかなどと、挨拶をして、鞍へお手をかけられました」

「ウム。そのことか」

「ひとの背なかへ乗るなら知らぬこと、馬へご挨拶をなさるには及ぶまいと存じられますが」

「そうかな」

「違いましょうか。わたくしの抱く不審は」

「ちがうと思う」

馬は黙々と老公をのせて弛い坂をのぼり坂を降ってゆく。主従の問答を馬耳東風とよそに歩いているふうだった。

里近くなると、田や畑に働いている人影は、遠く老公のすがたを見る者も、近く行き交う老若も、みなあわてて土下座した。――老公はいちいち馬の背から、

「よいお日和」

と、土民同士でする会釈を、同じように気軽に撒いて通った。

「どう違いましょうか」

林助が追求すると、老公は微笑をおさえて、すこし真面目になった。

「わからんか。なんのために日ごろわしと共に百姓しておるか。――わしははや官職を退いて、公には何の益もなさぬ閑人にすぎぬ。その閑人が、わずか五里の城下へまいるに、馬の労を費やしては、勿体ないではないか。