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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
「朝日新聞」1941(昭和16)年2月18日~8月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 页
十三
「そうだ、あの石屋の小屋が空いていたが。あいつを借りうけて、蓆でも張り出しゃあ持って来いだ。てまえが懸合って、三日のあいだ、あいつらを追っ払うことにしますから、親分、ちょっとここで、待っていておくんなさい」
十三
碑は竣工に近づいている。
職人たちは、黙々と、冬日の下に身を屈めて、各※(二の字点、1-2-22)の仕事に他念がない。
介三郎は、遠く離れて、碑面をながめていた。
石権もそばに立っていた。
――と、職人たちの中へ、ぶらりと、ふところ手や、肩をいからして、浪人者の三名が、彼方から来てじろじろ見まわしていた。
「ああ、これか」
と、ひとりが、ふところ手のまま、楠公の碑を仰ぐと、ほかのふたりが、
「そろそろ出来あがりらしいが、小一年はかかっている。つまらねえものに、金をかけたものさ。雨ざらしにするものを」
と、せせら笑っている。
職人たちは、生唾をのんで、憤りの虫をころしていた。
見るな、聞くな、いうな。
の戒めを、ここだと、我慢しあって、知らぬていをしていた。
すると、浪人者のほうから、
「おいおい、たれか、はなしの分るのはいないのか」
「…………」