轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

「朝日新聞」1941(昭和16)年2月18日~8月24日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 页

青空文庫

七

ふたりの漢学者の眼には、乳臭の人としか見えなかった。

が、この乳臭児は、ふたつの呆れ顔を前において、なお烈々大語してやまなかった。

(まあ、費用など、案じるに及ぶまい。これが、一私人の栄華とか、城郭を飾るとかいう財なら、わしに奉行はできんが、皇国のためなら、水戸一藩が、稗粟を喰い、百姓にのぞんでは、不愍と思うことでも、強い得る信念がある)

ふたりに口をきかせない。いや何をいま意見したところで、自分の理想を吐くに急で、耳にいれるいとまないような面色に見える。

(――いや、それよりもだ。事業にかかる前に、修史の根本精神をどこに置くかのほうが、もっと重大な問題であろう。この際、わしは明らかに告げておく。いまは実に漢学ばかりだ。光圀も漢学をまなび、お身方もいわゆる儒者だが、こういう心酔学徒の手になされた国史などは、国史というも当らない。むしろ国を誤つ観方をして、得々たるふうさえある。――たとえば、林道春の編修した本朝通鑑という大部な書物などがそれだ)

あまりな大言に聞えた。人見卜幽は、たしなめる意味で、

(若殿。通鑑は、二百七十三巻の大冊。あなた様は、あれ以上なものをご編纂になるお考えですか)