轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
「朝日新聞」1941(昭和16)年2月18日~8月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 页
あとで、なにげなく、封をひらいてみると、燦然たる黄金の板があらわれた。こんな金をかれは眼に見たのも初めてである。仰天して、所の代官所へ訴え出た。
「弥作。そちは何と見たか、勿体なくも、そちの茅屋をおのぞき遊ばしたのは、西山のご隠居さまじゃ。黄門さまでいらせられる。……そのお帰りに、わざわざ役所まで馬上お立ち寄り遊ばされ、なるほど、愚鈍そうな正直者、与えた金子も、人に欺かれて取られてしまう惧れがある。役所において、田畑を買わせ、この上孝養のできるよう、懇切に見てつかわすがよい――と、後々のお心づかいまで仰せつかれて、お帰りになられた。……いまも同役どもと、うわさを申し上げていたところ、そちは、何という果報者か」
弥作は聞くと、声をあげて、泣き出した。そして、西山の方角へ向って、顔に土がつくばかり何度も何度もお辞儀をしていた。
老公も、帰ったあとで、
「きょうは人中の人を見た。一世を率いる宰相も国の宝だが、一畝の田を守るかれの如きもひとしく土の宝じゃ。愚鈍はまま神にも近い」
と、いかにもその日は、老公までが楽しげであったという。
四
自身、農屋を訪れて、貧しいものを見舞ってやるなどという例は、老公としては、決してめずらしいことでない。