轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
「朝日新聞」1941(昭和16)年2月18日~8月24日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 页
国の亡ぶ時、自分はない。
まして、侍は。
そこで憂いの多い若い仲間が、稀に鬱屈を伸ばすために、かつてはあったが近頃は絶えていた汁講を復活して、一昨年あたりから月々集まっていた。
ひと口にいえば、大いに喰らい、大いに飲む会である。
政談や誹謗はやらないと規定している。密会ではない、公然の会だからである。気も浩然と養おうという集まりだからである。
「それでは意味がないではないか。この藩政ご窮乏のなかに」
と、初めは、賛成しない者もあったが、それはそれとして会をつづけてくるうちに、いつかおのずから顔ぶれがきまってしまった。
形式を尊ぶものや、口舌だけの憂国家は、いつか来なくなってしまったのである。それらの君子はほかへ行って、
「あれは牛飲馬食の会だ。このご節約の世に怪しからん」
などと相かわらず口舌の憤慨をしているらしいが、その汁講にきまってそろう顔ぶれを見ると、なるほど健康な胃ぶくろばかりだが、その代りに、みな、
「――事あれば」
と、各※(二の字点、1-2-22)の身命を、ここだけでも一つに固めて、いつなん時でも国のためには死なんというすがたが、そう口に出し合わないでも、明らかに観てとれる人たちばかりだった。