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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

三

そして、

「即時開戦せよ」

という者があるし、

「いや、和を乞うに如かず」

と、唱えるものがあるし、何十組となく客の顔が変っても、依然、いっていることは、その二つのことをくり返しているに過ぎなかった。

ところへ、取次ぎの者が、そっと主の周瑜に耳打ちした。

「魯粛どのが、仰せに従って、ただ今、孔明をつれて戻って見えられましたが」

周瑜も小声でいいつけた。

「そうか。では、ほかの客にはそっと、べつな部屋へ通しておけ、奥の水亭の一室がよかろう」

それから周瑜は、大勢の雑客に向って、

「もう議論は無用にしてくれ。すべては明日君前で一決する。各※(二の字点、1-2-22)は立ち帰って明日のために熟睡しておくべきだろう。そのほうがどんなに意義があるかしれん」と、燭を剪って、

「わしも今宵はもう眠るから」と、追い返すように告げて別れた。

詮方なく一同が帰ってゆくと、周瑜は衣をかえて、魯粛と、孔明とを待たせてある水閣の一欄へ歩を運んできた。――どんな人物であろう?

これは主客双方で想像していたことであろう。周瑜のすがたを見ると、孔明は起って礼をほどこし、周瑜は、辞を低うして、初対面のあいさつを交わした。