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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

二

とたんに、鉦鼓は鳴り轟き、諸人の感称もわっとあがった。

「あたった、あたった。柳にかけたる紅の袍は、快くそれがしに渡し給え」

大音あげて、文聘がいうと、

「何者ぞや、花盗人は。袍はすでに、先に小将軍が射られたり。わが手並を見てから広言を払え」

と、また一騎、駈け出た。

曹操の従弟、曹洪であった。

握り太な彫弓の満を引いて、びゅッと弦を切って放つ。その矢も見事、彼方の袍の心当を射抜いた。

陣々の銅鑼、陣々の鼓、打ち囃し、賞め囃し、観る者も、射る者も、今や熱狂した。

すると、また一人、

「笑うべし、文聘の児戯」と、馬おどらせて、あたりに威風を払って見せた大将がある。諸人これを見れば夏侯淵であった。馬を走らすこと雷光の如く、首を回して、後ろ矢を射た。しかもその矢は三人が射立てた矢の真ん中をぴったり射あてた。

夏侯淵は矢を追いかけて、柳の下へ駈け出した。そして、

「この袍は有難く、それがしが拝領つかまつる」

と、馬上から袍へ、手を伸ばそうとすると、遠くから、

「待った! 曲者」と、大声に叱って、彼方から一矢、羽うなり強く、射てきた者がある。

これなん徐晃の放った矢であった。