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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

二

ああ、百年目。

大事はここに破れたかと、統はたましいを天外に飛ばしてしまった。

二

彼は観念の眼を閉じた。

万事休す――いたずらにもがく愚をやめて、※(「广+龍」、第3水準1-94-86)統は相手の男へいった。

「いったい何者だ、おぬしは? 曹操の部下か」

「もとよりのこと」と男は、彼のからだを後ろから羽交い締めにしたまま、

「――この声を忘れたか。この俺を見わすれたか」と重ねて云った。

「何? 忘れたかとは」

「徐庶だよ、俺は」

「えっ、徐庶だと」

「水鏡先生の門人徐元直。貴公とは、司馬徽が門で、石韜、崔州平、諸葛亮などの輩と、むかし度々お目にかかっている筈――」

「やあ、あの徐君か」と、※(「广+龍」、第3水準1-94-86)統はいよいよ驚いて、彼の両手から、その体を解かれても、なお茫然立ちすくんで、相手のすがたを見まもりながら、

「徐庶徐庶。君ならば、この※(「广+龍」、第3水準1-94-86)統の意中は知っているはずだ。わが計を憐れめ。もし貴公がここでものをいえば、この※(「广+龍」、第3水準1-94-86)統の一命はともかく、呉の国八十一州の百姓庶民が、魏軍の馬蹄に蹂躙される憂き目におちるのだ――億兆の呉民のために、見のがしてくれ」