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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

三

ところが、その講義の終るか終らないうちに、たちまち左右の森林から一隊の軍馬が突出して来た。そして前後の道を囲むかと見えるうちに、

「常山の子龍趙雲これに待てりっ。曹操っ、待て」

という声が聞えたので、曹操は驚きのあまり、危うく馬から転げ落ちそうになった。

三

敗走、また敗走、ここでも曹操の残軍は、さんざんに痛めつけられ、ただ張遼、徐晃などの善戦によって、彼はからくも、虎口をまぬがれた。

「おう! 降ってきた」

無情な天ではある。雨までが、敗軍の将士を苛んで降りかかる。それも、車軸を流すばかりな大雨だった。

雨は、甲や具足をとおして、肌にしみ入る。時しも十一月の寒さではあるし、道はぬかり、夜はまだ明けず、曹操を始め幕下の者の疲労困憊は、その極に達した。

「――部落があるぞ」

ようやく、夜が白みかけた頃、一同は貧しげな山村にたどりついていた。

浅ましや、丞相曹操からして、ここへ来るとすぐいった。

「火はないか。何ぞ、食物はないか」

彼の部下は、そこらの農家へ争って入りこんで行った。おそらく掠奪を始めたのだろう。やがて漬物甕や、飯櫃や、鶏や、干菜や漿塩壺など思い思いに抱えてきた。