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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

凛々細腰の剣

一

玄徳はややほっとしたが、夫人呉氏は何といっても女性の身、騎馬の疲れは思いやられた。

だが幸い、途中の一豪家で車を求めることができ、夫人は車のうちに移した。そしてなお道を急いで落ち延びた。

「やよ待て、玄徳の一行、呉侯のご命令なるぞ。縄をうけろ」

山の一方から大声がした。約五百の兵がふた手になって追ってきたのだ。

趙雲は騒ぐことなく、

「あとは、それがしが支えます。君には、遮二無二お先へ」

と、玄徳と夫人を、なお奔らせた。

この日の難は、一応のがれたかに見えたが、次の日、また次の日と、玄徳の道は、先へ行くほど、塞がれていた。

すなわち柴桑の周瑜と、呉の孫権の廻符はもう八方に行きわたっていた。水路も陸路も、往来には木戸の検めが厳重を極め、要所には徐盛、丁奉の部下三千が遮断していた。

「ああ、いけない。この先には呉兵が陣している。今は進退きわまったか」

玄徳が痛嘆すると、

「いや、孔明軍師は、あらかじめかかる場合にも、嚢の中から訓えられています。こう遊ばせ」

趙雲がそれを彼の耳へささやいた。玄徳はいくらか希望を取り戻して、やがて夫人の車へ近づき、涙声をふるわせて彼女へ告げた。