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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

許都と荊州

一

北方の袁紹ですら一敗地に滅び、冀北、遼東、遼西まで席巻したあの勢いで南へきたら?」

「かならず参ります。故に、備えておかなければなりますまい。それにはこの新野は領堺も狭く、しかも城の要害は薄弱で、たのむには足りません」

「でも、新野を退いては」

「新野を退いて拠るべき堅固は……」

と、孔明は云いかけて、そっとあたりを見まわした。

許都と荊州

一

「ここに一計がないでもありません」

と、孔明は声をはばかって、ささやいた。

「国主の劉表は病重く、近頃の容態はどうやら危篤のようです。これは天が君に幸いするものでなくてなんでしょう。よろしく荊州を借りて、万策をお計りあれ。それに拠れば、地は広く、嶮は狭く、軍需財源、すべて充分でしょう」

玄徳は顔を横に振った。

「それは良計には違いなかろうが、わしの今日あるは、劉表の恩である。恩人の危うきにつけこんで、その国を奪うようなことは忍び得ない」

「このさい小乗的なお考えは捨て、大義に生きねばなりますまい。いま荊州を取っておかなければ、後日になって悔ゆるとも及びませぬ」

「でも、情にもとり、義に欠けるようなことは」

「かくいううちにも、曹操の大軍が襲来いたしたなら、何となさいますか」