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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

三

「劉予州、待ちたまえ、すでにご運のつきどころ、いさぎよくお首をわたされよ」

と、道を阻めて、名乗り立った一将がある。

見れば、荊州の旧臣、文聘であった。彼は、義を知る大将と、かねて知っていた玄徳は、

「おう足下は、荊州武人の師表といわれる文聘ではないか。国難に当るや直ちに国を売り、兵難に及ぶやたちまち矛を逆しまにして敵将に媚び、その走狗となって、きのうの友に咬みかかるとは何事ぞ。その武者振りの浅ましさよ。それでも足下は、荊州の文聘なるか」と、罵った。

――と、文聘は答えもやらず、面を赤らめながら遠く駆け去ってしまった。次に、曹操の直臣許が玄徳へ迫って来たが、その時はすでに張飛があとから追いついていたので、辛くも許※(「ころもへん+睹のつくり」、第3水準1-91-82)を追って、一方の血路を切りひらき、無二無三、玄徳を先へ逃がして、なお彼はあとに残って、奮戦していた。

三

しかし、張飛の力も、無限ではない。結局、一方の敵軍を、喰い止めているに過ぎない。

その間に、なおも、玄徳を目がけて、

「遁さじ」

「やらじ」

と、駆け追い、駆け争って来る敵は、際限もなかった。