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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

三

――合戦の初めに、馬超の軍勢は、潼関に拠っていましたから、渭水の北は遮断された形でした」

「ムム」

「で当然、河の東を攻めて、お進みかと思いのほか、さはなくて、いたずらに野陣の危険にさらされたり、後また北岸に陣屋を作り、いつになく、戦法に惑いがあるように見えましたが……」

「それは、難きを攻めず、易きを衝く、兵法の当然を行ったまでだ」

「それなら分りますが、今度はその反対のように動いたとしか思われませんでしたが」

「その条件を、敵方に作らせるよう、初めには、わざと敵の充実している正面に当ると見せ、敵兵力をことごとく味方の前に充実させておいてから、徐晃、朱霊などの別働隊を以て、敵兵力の薄い河の西からたやすく越えさせたわけじゃ」

「なるほど、では丞相の主目的は、むしろ別働隊のほうにあったわけですな」

「まず、そんなものか」

「後、わが主力は北へ渡り、堤にそって寨を構築し、しばしば失敗したあげく、氷の城まで築かれましたが、丞相も初めには、こう早く戦が終ろうとはお思いなさらなかったものでしたか」

「いやいや、あれはわざと、味方の弱味を過大に見せ、敵を驕り誇らせるためと、もう一つは、西涼の兵は悍馬の如く気短だから、その鋭角をにぶらすため、ことさらに、悠長と見せて彼を焦立たせたまでのこと」