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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

五

云い終ると、孔明は、やがて下流のほうに、火焔が天を焦がすのも間近であろうと、玄徳を促して、樊口の山頂へ登って行った。

五

東南風は吹く。東南風は吹く。

生温い異様な風だ。

きのうからの現象である。――さてこの前後、曹操の起居は如何に。魏の陣営は、どう動いていたろうか。

「これは不吉な天変だ。味方にとって歓ぶべきことではない」

こういっていたのは、程であった。曹操に向ってである。

「丞相よろしく賢察し給え」と、あえて智を誇らなかった。

すると曹操はいった。

「何でこの風が味方に不吉なものか。思え。時はいま冬至である。万物枯れて陰極まり、一陽生じて来復の時ではないか。この時、東南の風競う。何の怪しむことがあろうぞ」

こんな所へ、江南の方から一舟が翔けて来た。波も風もすべて、南からこの北岸へと猛烈に吹きつけているので、その小舟の寄って来ることも飛ぶが如くであった。

「黄蓋の使いです」と、小舟は一封の密書をとどけて去った。

「なに、黄蓋から?」

待ちかねていたらしい。曹操は手ずから封を切った。読み下すひとみも何か忙しない。

書中の文にいう。

かねての一儀、周瑜が軍令きびしきため、軽率にうごき難く、ひたすら好機を相待つうち、時節到来、先頃より陽湖に貯蔵の粮米そのほかおびただしき軍需の物を、江岸の前線に廻送のことあり、すなわち