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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

四

「のがすな」

「あれこそ、曹操」

西涼の兵は、弓を揃えて、雨の如く乱箭を送った。許※(「ころもへん+睹のつくり」、第3水準1-91-82)は、片手に馬の鞍を持ち、片手に鎧の袖をかざして、曹操の身をかばっていた。

四

曹操ですら九死に一生を得たほどであるから、このほか、いたる所で、曹軍の損害はおびただしいものがあった。

渭水の流れがたちまち赤く変じたのでも分る。浮きつ沈みつ流れてくる人馬はほとんど魏の兵であった。

それでも、この損害は、まだ半分で済んでいたといってよい。なぜならば、曹軍の敗滅急なりと見て、ここに渭南の県令丁斐という者が、南山の上から牧場の牛馬を解放して、一散に山から追い出したのである。奔牛悍馬は、止まる所を知らず、西涼軍の中へ駈けこんで暴れまわった。

いや、暴れただけなら、何も戦闘力を失うほどでもなかったろうが、根が北狄の夷兵であるから、

「良い馬だ。もったいない」と、奪いあい、牛を見ては、なおさらのこと、

「あの肉はうまい」と、食慾をふるい起して、思いがけない利得に夢中になってしまったものだった。

そのために西涼軍は、せっかくの戦を半ばにして、角笛吹いて退いてしまった。