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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

四

もうしばらく見ていてご覧なさい」

「……けれど、魯粛。この冬の末にも近くなって、東南の風が吹くわけはないじゃないか」

ああ、その言葉を、彼が口に洩らしてから、実に、二刻とて経たないうちであった。一天の星色次第にあらたまり、水颯々、雲※々、ようやく風が立ち始めてきた。しかもそれは東南に特有な生暖かい風であった。

四

「やっ? 風もようだが」

「吹いて来た」

周瑜も魯粛も、思わず叫んで、轅門の外に出た。

見まわせば、立て並べてある諸陣の千旗万旗は、ことごとく西北の方へ向ってひるがえっている。

「オオ、東南風だ」

「――東南風」

待ちもうけていたことながら二人は唖然としてしまった。

突然、周瑜は身ぶるいして、

「孔明とは、そも、人か魔か。天地造化の変を奪い、鬼神不測の不思議をなす。かかる者を生かしておけば、かならず国に害をなし、人民のうちに禍乱を起さん。かの黄巾の乱や諸地方の邪教の害に照らし見るもあきらかである。如かず、いまのうちに!」

と、叫んで、急に丁奉、徐盛の二将をよび、これに水陸の兵五百をさずけて、南屏山へ急がせた。

魯粛は、いぶかって、

「都督、今のは何です?」