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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁

青空文庫

三

――が、その一瞬のまえに、

「魯粛は、あるや」と、呼ばわった。

壇の下からただちに、

「これにあり」と、いう声がした。

孔明はさしまねいて、

「近く寄りたまえ」と、いい、そして厳かに、

「いまより、それがしは、祈りにかかるが、幸いに、天が孔明の心をあわれみ給うて、三日のうちに風を吹き起すことあらば、時を移さず、かねての計をもって、敵へ攻め襲せられるように――ご辺はこの由を周都督に報じ、お手ぬかりのないように万端待機せられよ」と、念を押した。

「心得て候う」とばかり、魯粛はたちまち駒をとばして、南屏山から駈けおりて行った。

三

魯粛の去ったあとで、孔明はまた壇下の将士に戒めて云いわたした。

「われ、風を祈るあいだ、各※(二の字点、1-2-22)も方位を離れ、或いは私語など、一切これを禁ず。また、いかなる怪しき事ありとも、愕き騒ぐべからず。行をみだし、法に反く者は立ちどころに斬って捨てん」

彼は――そう云い終ると、踵をめぐらし、緩歩して、南面した。

香を焚き、水を注ぎ、天を祭ることやや二刻。

口のうちで、祝文を唱え、詛を切ること三度。なお黙祷やや久しゅうして、神気ようやくあたりにたちこめ、壇上壇下人声なく、天地万象また寂たるものであった。