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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
四
と、曹操はまず、はやりたつ諸将を制してから、くわっと、張飛をねめつけた。
四
張飛は動じる態もなかった。
かえって、全身に焔々の闘志を燃やし、炬の如き眼を爛と射向けて、
「それへ来たものは、敵の総帥たる曹操ではないか。われこそは、劉皇叔の義弟、燕人張飛である。すみやかに寄って、いさぎよく勝負を決しろ」
と、呼ばわった。
声は長坂の水に谺し、殺気は落ちかかる雷のようであった。そのすさまじさに、曹操の周囲を守っていた者どもは、思わず傘蓋を取り落したり、白旄黄鉞などの儀容を崩して、あッとふるえおののいた。
いや、その雷圧は、曹軍数万の上にも見られた。濤のような恐怖のうねりが動いたあと全軍ことごとく色を失ったかのようであった。
さわぎ立つ諸将をかえりみながら曹操は云った。
「今思い出した。そのむかし関羽がわれにいった言葉を。――自分の義弟に張飛というものがある。張飛にくらべれば自分の如きはいうにたらん。彼がひとたび怒って百万の軍中に駆け入るときは、大将の首を取ることも嚢の中の物をさぐって取り出すようなものだ――予にそういったことがある。さだめし汝らも張飛の名は聞いていたろう。