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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(五)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 325,249 字 · 653 頁
「荊州の形勢はどうだった?」
「よく分りません」
「なに、分らぬ。――はるばる、江をさかのぼって、その地を通過しながら、何も見てこなかったのか」
「いささか、所感がないでもありませんが、それがしの視察は別にご報告申しあげます」
「むむ……そうか」
と、孫権も敢て追及しなかった。そして手もとにあった檄文の一通を、
「これ見よ」といって、魯粛へ渡した。
曹操からの「最後通牒」である。われに降って共に江夏の玄徳を討つや。それとも、わが百万の大軍と相まみえて、呉国を強いて滅亡へ導くつもりなりや否や、即刻、回報あるべし――という強硬なる半面威嚇、半面懐柔の檄文だった。
「このためのご評議中でございましたか」
「そうだ。……早朝から今にいたるまで」
「して、諸員のご意見は」
「いまなお、決しないが……満座の大半以上は、戦わぬがいいということに傾いておる」
そういって、孫権がふたたび沈吟すると、張昭そのほかの重臣は皆、口を揃えて、
「もし、呉の六郡と、呉の繁栄とを安穏に保ち、いよいよ富強安民を計らんとするなれば、ここは曹操に降って、彼の百万の鋭鋒を避け、他日を期すしかありません」